国道の安川通りを渡り下二之町へ入ると、職人町風情の町家街へと入っていく。屋号の個性的な看板が目を引き、和菓子の分隣堂、扇型の表具師、書画骨董、ひと文字「餅」のみと、メッセージ性があり印象に残る。ほか、トラクターを並べた店には「農業機械」の文字の、昭和の電気屋風の看板もレトロ。あたりは観光客はほぼ見られず、時折店の方が店先を見に出てきたり、地元の子供が行き交うぐらいの静けさである。

江名子川を渡った先の豊明台組保存区域には、日下部民芸館と吉島家住宅の、二つの豪商の館が並ぶ。ともに高い天井に錯綜する太い梁、囲炉裏が配された座敷が見学できるが、時下休止中。二軒の大きな邸宅を中心にした一角は、他の町屋の通りに比べ重厚な雰囲気が漂っている。先を折れると、大鳥居から続く桜山八幡宮の参道へ。沿道の町家は一刀彫りや春慶塗などの工房が並ぶ、職人街の風情。門前らしく甘味や、休憩所のレトロな看板も見られる。