西宮浜の一角に流れ込む夙川は、西宮の高級住宅街を南北に流れる川。沿道は遊歩道が整備されていて、桜並木や松林、四季折々の花々が咲き乱れる、界隈の緑のオアシスになっている。文学作品の舞台にもなっており、河口からすぐの葭原橋は、村上春樹の「ランゲルハンス島の午後」に登場。界隈に住んでいた氏も、散策などで渡ったという、春樹ファンの聖地の一つである。

遊歩道は土手の上と河原のすぐに設けてあり、水辺で遊ぶ子供たちも。川面には水鳥も多く、本当に自然に恵まれているのを実感する。阪神の香櫨園駅を過ぎたところ、白鹿酒造の辰馬家の考古資料館には、銅鐸の展示が。ほか西宮市立中央図書館には郷土資料館、付近の大谷記念美術館には見事な庭園もあり、文教施設も点在している。日切地蔵尊や延命寺像など、御利益スポットもちらほら。

噴水があり鯉が泳ぐ片鉾池を過ぎると阪急の夙川駅で、やや坂を登ると美しい白壁に尖塔のカトリック夙川教会がそびえる。昭和7年築のネオゴシック形式の聖堂で、遠藤周作にもゆかりがあるとか。壁面のステンドグラスも見事で、周囲をめぐりながら見入ってしまう美しさである。夙川駅で西宮さんぽは終了。