西国街道から、山脇邸のところで松林小路へと入り海側へ。JRの高架をくぐり、港町一丁目の路地へ折れると、なまこ壁や土蔵が連なる一角に入り込みます。港町一丁目界隈の一角は、埋め立てられる前は三原城の舟入があった場所。明治期まで「西浜」と呼ばれ、港町として賑わいました。あたりは現在も「西浜むかし町」と呼ばれ、古い建物が数多く残っています。通りにはかつて雁木が設けられ、「がんぎ通り」の相性も。なまこ壁は、漆喰の盛り具合が見事。

入ってきた側が裏通りになり、通り側や妻部に多数の小窓も見られます。土蔵の間には小路が設けられ、表側へ出られます。焼板塀の間をすり抜けていくと、格子戸や虫籠窓が美しい建物の正面へ。虫籠窓の商家は現在も現役で、事業所の事務所に使われています。通りの左側からがかつての港で、船を繋いだもやい柱が残ります。立派な洋館建築の眼科には、壁面には昔の町名のホーロー看板も。

西浜むかし町を後に、国道185号を渡り西野川方面へ。港町のポンプ場を過ぎると、西野川の川岸へと出ます。流れの中には、石組みで造られた江戸期の導流堤「へび石」が。西野川も含め、あたりはかつて海だったところです。2019年築の三原市役所新庁舎には、2階にバルコニーも。対岸は公共施設のリージョンプラザ、歴史民俗資料館がある文教地区です。曙橋を過ぎたところが西野川の河口で、大師堂の先には三原港が広がっています。漁船の先には、向島と因島を結ぶ、しまなみ海道の因島大橋を遠望。小型船舶の待機用桟橋に沿って、三原内港西公園には、沿道のヤシの木がどこか南国の雰囲気です。