三原駅西口は別名「隆景広場」で、小早川隆景像に見送られて三原城跡を後に、かつて西国街道沿いに栄えた本町方面へ向かいます。桜橋から見る河原谷川の護岸には、当時の石組みがチラリ。西国街道に続く河原谷口の通りを入り、野畑山の麓に点在する寺社を巡り歩いてみましょう。成就寺は安芸国守護の小早川貞平の、菩提所を移した寺院。本尊は小早川隆景の持念仏だった千手観音で、備後西国三十三ヶ所巡拝の札所でもあります。鎮守神の淡嶋神社は、女性の守り神でもあります。

河原谷口の通りをやや進み、山側へ折れると妙正寺坂。野畑山方面へとのびていて、道中から先ほどの成就寺を見下ろし、三原城の詰城があった桜山も。登りきったところで、妙正寺の山門が見えてきます。妙正寺は、三原城主浅野家の菩提寺を移した寺。移転した享保時の堂宇が現存しており、本堂は裳階付きの二層構造で本尊は十界曼荼羅。本堂から続く切妻造の庫裏には、円窓があしらわれています。境内には幕末まで三原城下を治めた、浅野家の墓所ほか、宝物館や宝篋印塔、一字石などの見どころも。当時は城下をくまなく一望できる要所でした。

妙正寺から、隣接する大島神社の境内へ。もとは三原城を築城する際に周囲を埋め立てた大島にあった、稲荷神が起源。城の守護神で、海運の神様である厳島神と合祀して天主台に祀られていました。現在は高台から、三原市街を見守っています。鳥居のトンネルが連なる参道の斜面から市街に目をやると、三原城跡から三原港、瀬戸内の島々を一望。下りは、この鳥居のトンネルをくぐっていきましょう。もとは数基だけだった鳥居を、2020年に増やし、現在は石段に計62基の鳥居が。ご利益スポットとしても人気で、市街の各所、新幹線からも見える、三原のランドマークです。