南口から、高架下の通路を抜けて北口へ。新幹線の高架の下に見える石垣は三原城のもで、かつての城郭内をJRの線路が横切っています。駅寄りは本丸の石垣で、奥の天主台へと繋がっています。天主台に上がるには、いったん駅の中へ。入口は駅に直結しており、階段を上り出たところに、城跡の園地が広がっています。

沼田川河口の島々を繋いだ埋立地に造られた、瀬戸内海に面した三原城。1567(永禄10)年に小早川隆景により築城され、かつては三原駅付近の本丸を中心に東西約900m、南北約700mの広い縄張りでした。小早川隆景は瀬戸内の水軍を掌握、城は軍港としても機能。かつては海寄りの中門付近で瀬戸内海に繋がり、満潮時の姿は「浮城」と呼ばれました。天主台に天守は設けられず、外周に土塀と、隅に櫓のみが設置。新幹線が、ちょうど天主台の高さを通過していきます。

三原駅内へ戻り、西口からも天主台を眺めてみましょう。通路のそばにも天主台の石垣が。新幹線が通る箇所は高架橋を、石垣とうまく組み合わせて設置しており、可能な限り城跡を保存する姿勢が伺えます。西側から見る天主台の石垣の高さは15mほど。備後國三原城繪図によると、天主台は本丸の北端に位置しています。堀の幅は約30mで、当時のままです。