
栄町商店街を抜けたすずさんは、商店街を戻らず堺川沿いに朝日町へ入ってしまった模様。こちらは堺川沿いに、古い飲食店長屋を眺め、流れを見ながら下っていく。蔵本通りと交わる中央橋交差点をそのまま過ぎると、れんが通り商店街へと続いていく。周作が帳面を届けさせる名目ですずさんとデートするのはこの界隈で、北側の入口は物語の最後に、孤児をおぶり灰ケ峰を望むシーンの場所。れんが通りの出口からの画だが、本来はやや奥寄りのモスリン堂前からの展望だそう。
アーケードはドームで明るく、途中には三和通りややよい通りなどの飲食店街も分岐して賑わいを見せる。パルス通りにはサンプルが侘びた町中華、海軍グルメのいせ屋や呉スイーツの蜜屋やメロンパン、福住フライケーキにびっくり饅頭など、呉グルメの集積地でもある。映画を見ようとしたふたりが混んでいるので海軍さんに譲った映画館「地球館」や「喜楽館」ももと沿道にあり、ほか映画には出た「小松屋」など、ゆかりのポイントが集まる。
アーケードがなくなり、海軍さんの珈琲の昴珈琲店を過ぎると、商店街は急に侘びた様相に。色褪せたテント幕に記された屋号が時代を感じさせ、それまでのアーケードとはがらりと雰囲気が変わる。その先を堺川へ折れると、先のデートシーンで訪れた、小春橋へと至る。灰ケ峰をバックに連なる橋に二人佇む名場面で、小春橋からは彼らが佇んだ場所に身を置き、ひとつ下流寄りの境橋からは小春橋ごと俯瞰した作品のシーンの絵がイメージできる。通りを逆へ、四ツ道路交差点先のドラッグストア付近は、義姉とラッキーストライク入りの雑炊を味わった闇市の場所。
港の方へ、軍や自衛隊関連の見所へも足を伸ばしますしょう。