
熊鷹社で引き返す参拝者も多いが、さらに進むと斜面はどんどん急に。石段の傾斜が増し、右手には森の斜面がかなり急に落ちていく。登り切った三叉路の三つ辻から右へ、鄙びた休憩茶屋や呼子大神などのお塚を見て、山登り気分でさらに上へ。石段の両脇には奉納者名入りの石柱が見られ、料亭や市場、大店の商人などの名前が刻まれている。
いよいよ幅が細くなる石段の先に、展望が開けた一角。左にさらに登ったところが、お山巡りの周回路の起点となる四つ辻だ。登ってきた路、御膳谷から山頂の一の峰へ至る道、三の峰からまわっていく道、東福寺方面に降りる路が交わった、まさにお山の交差点だ。岩肌が露出した展望所があり、京都市街の南部を一望する景勝が見事。茶屋のにしむら亭は江戸末期創業、もとは安全に参拝できるための警備所で、注文ごとに作る稲荷寿司は優しい甘さが散策の後にありがたい。
山頂へはあと30分歩くのでまたとし、分岐した石段を登ったところの荒神峰を目指した。稲荷山の七神蹟地の一つで、本殿にも祀られている田中社の御神蹟霊地である。急登の石段の両脇にはお塚が並び、地図によると中央の神蹟を幾重にもお塚が囲む、山岳信仰の霊地の様相だ。権太夫大神との扁額がある祠の周りを、お塚に囲まれながらひとまわり。奥寄りの展望所は、京都市街の北寄りが一望できる、稲荷山屈指の景勝スポットだそう。
帰りは同ルートをたどり、途中で帰路の指示に従い鳥居トンネルを外れ、石灯籠の雰囲気の良い通りへ。玉山稲荷社の前に出てゴールとなる。帰りは飲食物販店が並ぶ裏参道を行くと、京阪伏見稲荷駅へと出られる。