
資料館の先、小馬出町に入ったところがややくの字に折れていて、路地に面した建物の側壁で、奥へ長い建物なのが分かる。折れてすぐの萩野仏壇店から振り返ると、建物が並ぶ先に資料館の店頭がこちらに向き、フォトスポットとなっている。萩野仏壇店の先の右手に、黒漆喰と細い格子窓がスマートな商家、山町ヴァレーの向かいには2階に分厚い観音扉の重厚な商家が構える。山町ヴァレーは文具商を営んでいた旧谷道家の建物をリノベした、複合商業施設。
その左斜め向かいの菅野家は、銀行や高岡電灯、高岡紡績などを起業、政治家でもあった名家である。山町筋にある土蔵造りの町家の中でも大規模なもので、黒漆喰仕上の外観と正面庇の天井飾、両側面の煉瓦積みの防火壁などが外観から見られる。その先にも間口の狭い商家と並び、同じ規模のグレーの土蔵造りの商家が建つ。筏井家は糸などの卸商を営んでおり、観音扉に煉瓦塀の防火のつくりは、菅野家に匹敵する重厚さである。
昭和通りを渡ると、富山第一銀行高岡中央支店の重厚な石造の建物が。その先の赤れんがの建物は、富山県内唯一の本格的西洋式の銀行建築である旧富山銀行本店(旧高岡共立銀行本店)。その先には高岡信用金庫本店は、付近の土蔵造りの建物に合わせ、新築ながら黒漆喰の土蔵造りの外観で、街並みに溶け込んでいる。山町筋の守山町界隈は、証券会社や金融会社の本店、支店が軒を連ね、「北陸のウォール街」と呼ばれていたという。