
再び二の丸へ戻ってから、続いている鍛冶丸にある高岡市博物館へ。常設展示場の建物は昭和26年に古城公園で開催された「高岡産業博覧会」の美術館パビリオンとして建築、どこかギリシャの神殿風でもある。高岡の歴史・民俗資料をはじめ、銅器や漆器などの伝統産業に関連した資料を収集している。
入ってすぐのジオラマでまずは城郭と、銅器の職人町の位置関係を把握。前半は商業にまつわる資料が興味深く、商店の宣伝を兼ねた「商売繁盛双六」には洋品店や薬局、新聞社がレトロ絵と共に紹介されている。ほか高岡産業博覧会の絵図には、古城公園を会場に23のパビリオンが並び、本丸には小牧ダムの大きな模型が配されているのもわかる。
鋳物産業の展示コーナーでは、金屋町の産業の様子を詳しく取り上げている。明治後期から昭和初期にかけて、20軒あまりの鋳物工場が集積。煮炊きや調理用の大釜が主な製造品で、塩釜、風呂釜ほか北海道で肥料加工に使うニシン釜の注文が多かったという。展示には大きなニシン釜に並び、鋳造用の鋳型、溶けた鉄を鋳込む片口の取鍋、溶けた金属を入れる坩堝、さらにたたらの踏み板に手動で風を送るふいごなどの道具が見られる。
ほか仏具も主要な生産品で、梵鐘に銅鑼、仏前で鳴らすおりんは鳴らしてみる体験もできる。鋳物のほか装飾の彫金や漆芸、それらを駆使した高岡仏壇の展示もあった。