
アーケードの先、レトロな商店を見て歩き、藤塚町を抜けて右方向へ。中央通りへ出て、JR高徳線のガードをくぐると、高松藩主松平家の別邸で日本最大の文化財庭園の、栗林公園へと入ります。江戸初期を代表する池泉回遊式で、紫雲山を背景とした16.2haの平庭は、池と築山、1000本もの松が作り出す造園美が見もの。歩くと変化する景色を楽しめます。東門から桧御殿跡の芝生園地へ入ると、正面には紫雲山が。かつて香川県博物館だった商工奨励館の建物を見て、北湖の方へと歩きます。
屏風松と箱松は、それぞれの形を模して剪定された松。北湖の北岸に沿って続いており、錯綜する枝ぶりが見事で、300年に渡る手入れの賜物です。池側から見るときれいな箱の形で、桧御殿と北湖を隔てる壁のように続いています。前嶼と後嶼の2つの島が浮かぶ北湖には赤い欄干の梅林橋がかかり、北西の梅林が名の所以。水路は北湖から西湖へと続いています。日暮亭は明治期築の茅葺の草庵風茶室で、抹茶を頂けます。紫雲山の麓にあたる西湖は、鬱蒼としたたたずまいです。旧日暮亭はかつての「考槃亭」を移築、庭には藤棚や灯籠が立ち並びます。
石壁(赤壁)は川により侵食されできた、安山岩の柱状節理。桶樋滝は落差約8m、藩主が鑑賞した人工の滝を復元したものてす。涵翠池の中島は、石組で仙人の島を表現。木橋の津筏梁を渡った小普陀は、最初に造園された場所ともいわれます。掬月亭は江戸初期築の数寄屋造の建物で、別称は「大茶屋」。藩主が茶会を行い、湖面に手が届くほど床が低く、湖に臨む掬月一ノ間は遮るもののない展望が開放的。四方が正面という、縁側すべてが入口なのも面白い造りです。
南湖を南岸から一望すると、紫雲山の麓の掬月亭から楓嶼、天女嶋、杜鵑嶼の、3つの中島が見渡せます。太鼓橋の偃月橋の上からは、南湖を周遊する和船が。中島や掬月亭のそばを巡ります。軽食と喫茶の吹上亭の前の飛び石を渡り、富士山を見立てた築山「飛来峰」の頂上へ。園内一の景勝地からの眺めは、紫雲山を背景に、南湖周辺の眺めが箱庭のようです。茶屋の花園亭には甘味や抹茶に、野点弁当も。高松は盆栽の一大産地で、売店の松の盆栽が種類様々です。