
西大寺電停から旭川方面へ、路面電車に沿って進みます。大手饅頭伊部屋は備前米を材料にした、備前藩主池田公も好んだ饅頭。水之手筋を渡ると、旭川へかかる京橋のたもとへ。そばにある京橋渡初之図は、1847(弘化4)年に架け替えられた京橋の渡り初めの版画。迷い人の連絡場所「迷子しるべ」の碑もあります。界隈にかつて京や大坂の呉服を扱う店が集まる「京町」があったため、その名がついた京橋。長さはおよそ124メートル、当時は岡山市街で最大の橋でした。あたりは川や海からの船着場や、陸運で城下に入る玄関口でもあり、京橋から大坂、四国へも、定期的に船便が出ていました。
現在の京橋は、1917(大正6)年に架け替えられたもの。ここから河岸の遊歩道を、県庁まで歩いてみましょう。京橋火の見櫓は1924(大正13)年築、高さ21メートルの鉄骨造。備前岡山京橋朝市が毎月第1日曜に、河川敷と緑地で開催され、農産物や魚介を販売します。森崎稲荷神社は地域の開拓の神様で、厄除け、開運ほか縁結びにご利益が。男性は男木を、女性は女木を想いの人を浮かべて回ると、結ばれるとか。京橋の橋脚には1681(延宝9)年の刻印があり、洪水で幾度も架け替えられているのが分かります。沿道の文学碑によると、夏目漱石が子規を訪ねる際、岡山に逗留した記録も。