再び真締川の河口を渡ると、正面左へ宇部興産の事業所群が迫る。もとは明治30年の沖ノ山炭鉱が起源で、現在の事業所は炭鉱時代に掘り出された、不要な残土で埋め立てられた土地に立地している。大通りから一筋入ると、かまぼこ型の建屋、パイプ剥き出しの施設などが。さらに国道190号に出たら、大型のトレーラーも目立ち始める。巨大な要塞のような重厚さの中、「ご安全に」との注意喚起の案内板、タンクにときわ公園のペリカン・カッタ君のイラストなどが、どこか穏やかだ。

宇部新川駅前からの興産通りと交差すると、左へ事業所群の中を貫く通りが続く。この道路は「宇部興産専用道路」で、美祢町の鉱山と宇部市の港湾を結ぶ、長さ30キロの「私道」だ。道交法の規格外の巨大なダブルストレーラーが行き交い、セメントの半製品のクリンカーなどをピストン輸送している。宇部興産は現在はこの建設資材ほか、機能品・ファイン、医薬、化成品・樹脂、機械・金属製形、エネルギー・環境の6部門を展開。この地区にそれぞれの事業所も集積している。

入口に建つ本社ビルを過ぎると、右手に宇部スチールの錯綜するパイプラインを沿道に見たり、くぐりながら進む。左手には化学関連の宇部ケミカルの工場、さらに先には、建設資材部門の宇部セメント工場が。大型の施設にコンベアが渡され、迫力ある眺めが迫る。この辺りで引き返して本社ビル方面を一望すると、改めてその規模が実感できる。