林泉寺から東へ、紺屋町通りから東町上通りへ入ると、白壁土蔵の大きな蔵が続く。「東光」の蔵元である小嶋総本店で、安土桃山・慶長年間創業、上杉家御用酒屋でもあり、創業400年を超える老舗だ。通りの左手に醸造蔵が、右手には大正期築のブルーの洋館風建物も見られる。直進すると見学施設「東光の酒蔵」へ。昭和59年4月に古い蔵を復元したもので、1200坪の敷地に東北一の広さといわれる、床面積140坪の土蔵「仕込み蔵」に、当時の道具や酒造方法を展示している。

蔵に隣接した母屋部分は、釘を使わない伝統工法で建設。大福帳と大算盤が置かれた帳場や下げものが飾られた座敷を見て、右手に池越しに土蔵を見る庭園を眺めてから、仕込み蔵へ足を運ぶと大きな仕込み桶がズラリと並ぶ。酒造過程を説明したイラスト図によると、足場は組んでなく樽の淵に乗って発酵作業をしたそう。酸素がゼロになるので落ちたら死ぬため、かなり危険な仕事だったという。酒袋を丸太の重みで搾る「舟」、麹の温度管理のため煉瓦造りの「室」ほか、奥に祀られた三輪明神は、商売繁盛と珍しい醸造安全の神様。

出口手前は限定品や梅ジュースにサイダーも置いた売店と、広々したフリースペースがあり、試飲は中止中だが買った品を飲める。1合瓶の「純米」「純米吟醸原酒」が、さんぽの一休みにちょうどいいサイズ。一杯だけにしておいて、最後にもう一箇所見学しましょう。