
このたびの旅の最後は、ひと頃この時期に毎年来ていた桑名。目をつぶっても歩けるほど知った街なので、ざっと撮りながらたどりましょう。
桑名駅舎は改築中で、ローカル駅ビルの「桑栄メイト」も月内の取り壊しが決まり店はパラパラしか残っていない。サンプルが煤けたそば屋とか喫茶店、今は希少なドムドムバーガー、地下へ誘うレトロな飲み屋看板など、昭和の駅前遺産がまた失われてしまう。駅周辺にも、同じく昭和な商店街や飲み屋街が目立つ。桑名一番街から銀座通りへかけて、アーケードや雑居ビルに間口の狭い飲み屋が連なる様は、どこかうらぶれ感が漂う。一番街も再開発対象なのか、シャッター街化がさらに進んでいるのが気になる。
銀座通りの屋根にかかる飲み屋のアーチ型看板アートを見て、先の錦通りへ。北野武監督の映画『龍三と七人の子分』のロケ地なのは知っていたが、入り口にあるクラブの宣伝広告に「ロケ地ガイド」が大きく記されていたのは、今回初めて見た。通りは間口の狭い飲み屋やスナックが連なり、こちらもカラフルな看板アートが見られるのは変わっていない。中ほどには飲み屋の埋もれ社と化した、錦稲荷大明神もまだまだ頑張っている。
まずは寺町方面へ、足を伸ばしましょう。