奈良市街で唯一の市場、かつ相当レトロなアーケードの中程に、まるでここだけ時代も空間も別世界のような、明るく開けた雰囲気のカフェがある。店内の一角ではロースターがいい香りを出しており、焙煎した豆を販売するほかテイクアウトでいただくこともできる。

カウンター下の黒板にびっしり書かれた南米やアフリカ産の豆から選べ、ご主人の勧めで店名を冠した「TABIブレンド」のアイスに。ハードとマイルドも選べ、朝の目覚め用にマイルドにして、店頭の椅子に腰掛けていただいた。淡目の見た目通りスッと入る軽さで、香りも苦味も尖りすぎず程よい。焙煎する際は状態の悪い豆を手作業で選り分け、温度管理も徹底しているからこその、雑味のない味わいである。

ちなみに名前のTABIは「旅」と、ご主人の苗字をかけているそう。アーケードの通りや、背後の五社大神の社を見ながら、ちょっと不思議な空間を旅する気分の、スペシャリティコーヒーがオススメだ。