今西家書院から十輪院へ向かうのだが、国道169号へ出ると遠回りになるので、引き返して興善寺の脇の細い道を抜ける。門前を左へ回り込むと、植木や自転車が置かれる生活感あふれる小道。クランクに曲がり普通のブロック塀の間をやや行ったところで、右手の塀越しに興善寺の本堂、十輪院の御影堂と本堂の屋根が、異なる意匠で連続する。先ほどの元興寺といい、奈良町は塀越しに見える堂宇の屋根が美しい。

南門から十輪院の境内へと入る。元興寺旧境内の南東隅に位置しており、かつては子院だったとされている。門をくぐると右手に庭園が広がり、この時期は池にハスの花が咲き乱れている。奥にはは開祖である朝野宿禰魚養の墓があり、石室がある方形の見た目が「ミニ古墳」のようでもある。

この先、元興寺の遺構をもう一つ見ていきましょう。