御供所通りをしばらく行くと、瓦付きの土壁が長く添い始める。中ほどに菊の紋があしらわれた小さな門があり、石柱の寺名には「聖福寺」とあった。説明によると創建は1195年、源頼朝の時代に栄西禅師が創建したという。なんと、日本最古の禅寺だそうで、京都でも奈良でも鎌倉でもなく博多駅前の市街地の中にひっそり立地しているのが、信じられないような名刹なのである。

先ほどの勅使門は仏事以外では使うことができず、やや先の総門から境内へと入る。御供所町のざっと5分の1ほどの広大な伽藍を有するだけに、緑豊かな境内は凛とした空気が広がる。勅使門の前へ回り込むと、瓢箪型の無染池の正面に巨大な山門、その奥に仏殿が一直線に並ぶ、禅宗様伽藍の威容に圧倒される。右奥の苔庭の木々の間には鐘楼が垣間見え、奥行きもなかなか深い。

総木造りの仏殿は増築を重ね、現在の重厚な姿となった。中に鎮座する三世仏は黄金の御姿が神々しく、手を合わせて家内安全健康を祈願。背後にも多数の伽藍があるが、修行道場でもあるため公開されているのはここまでなのだとか。あたりには隣接する寺院も多く、改めてこの寺が大寺院だったことを実感せずにはいられない。

近くでもうひとつ、見ものがある大寺院へも足を運んでみましょう。