チェーンの聖地だったこのホテル、その面目からか朝食が素晴らしかった。麻婆豆腐、肉じゃが、かき揚げ、卵焼き、アジフライと書いただけでは大したことなさげだが、どれも実に味がいい。

肉じゃがは具材ひとつひとつに味の染み方と煮加減が違い、箸をかけたら崩れる柔らかさのじゃがいもに対し、インゲンとニンジンは歯応えを残す。アジは大葉が添えられ、青魚特有のクセが爽やかになり身の膨らみが増す。卵焼きは「博多甘味卵」と称し、出過ぎない砂糖甘さがおかずの分を留めたポジション。かき揚げは桜海老入りで香り高く、麻婆豆腐は多分五香粉入りの中華っぽい香りが本格的だ。

カレーに至らなかったのが残念で、きっとお母さんの味的なホッとするやつだろう。それをカバーして感涙が止まらなかったのが、明太子と高菜の取り放題だ。丼飯無限ループとなる恐ろしさ、これだけでも文句なしにホテルの無料朝食ランキングベスト3入りである。

どんばら(博多弁で「満腹」)のこなしに、駅まで3駅をさんぽしてみましょう。