名古屋のモーニングが品数の豊富さで話題だが、岐阜のモーニングも負けていない。ついてくる品のバリエーションの豊富さで、今や本家の名古屋や一宮を凌ぐ人気という。サンドイッチにサラダがつくのは当たり前で、うどんにパスタにお粥におにぎり、さらには寿司やカレーやベーグルなど、業態の特徴を出した大サービス。ドリンク代でいただけるという点だけが定義とはいえ、当地のサービス精神には改めて恐れ入る。

岐阜駅前から市役所にかけてはビジネス・官庁街のため、こうした店が多数しのぎを削るエリアだ。加えて界隈は老舗の喫茶店も多く、路地に入れば普通の街喫茶が、モーニングサービスの看板を出してお客を待っている。名鉄岐阜駅裏手の「スピーチバルーン」は、大きなガラス張りの外装が明るく、イージーリスニングのかかる店内はテーブルとボックスがずらり並ぶ、純喫茶そのもののつくりの店である。レジ横の岐阜新聞を手に、窓際の席に座りオーダーはモーニング一択だ。

が、「モーニング」と頼んでいるのは自分だけで、地元の方は飲み物のみ注文、黙っていてもモーニングがついてくる仕組みらしい。プレートにはトーストとサラダのほか、パスタ、揚げ物、フルーツゼリー、そして岐阜モーニングの特徴であり茶碗蒸しも、ちゃんとのっていた。これでドリンク代の430円というから、コスパの良い朝ごはんだ。パスタはバジリコでパセリほか軽くニンニクが効いており、揚げ物のオニオンフライは外はカリッ、中はグシュッとジューシー。茶碗蒸しはシイタケが香り高い本格派で、卵たっぷりなのが手作り感あふれる。

ミカンと桃のゼリーを平らげ、バランスもよい朝食に十分満足。安く済んだのと心地良さとで、コーヒーをお代わりしてもう少しゆっくりしていきたくなる、岐阜の朝一のローカルごはんである。