
下山道の途中にある摠見寺(そうけんじ)跡は、信長による本格的な城内寺院だった寺である。本堂の跡ほか向かいには三重塔が残り、大手道沿いには鐘つき道や墓所も見られるなど、城址の随所に遺構が見られる。本堂跡は天主台よりやや低い、遮るもののない斜面の上にある。そのため直下に安土の町の瓦屋根が連なる先に西の湖が広がり、天主からより眼下の眺めがいいぐらいだ。摠見寺は安土城の落城後も当地を守り続け、安土山は現在全域が当寺の所有地になっている。なので安土城跡は国の特別史跡ながら、実は「私有地」なのである。
また、摠見寺は城下に着いて最初に通った百々橋から、天主に向かって真っ直ぐ登る「百々橋口道」の道中にあるため、当時は信長を詣でる大名が往来して賑わったとあった。正面からの正式な登城道である大手道に対し、こちらはいわば天主への裏道・近道でもあったようだ。下りはこの急な石段をゆっくり降り、仁王門を経て山腹を巻く道を行き、豊臣秀吉邸の裏手に出て大手道へと合流し、出口へと至った。
にしても受付のお姉さんは天主まで「20分」と言っていたが、さっさと歩いて30分ぐらいだから、道中で見かけた年配の方はかなり時間に余裕を見ておかないと大変そうだ。加えて石段の足場は悪く上りは急なので、足回りは軽登山並みの準備はあったほうがよさげ。入り口で杖は貸していたようで、訪問の際はそれなりの準備をお忘れなく。
また安土駅まで20分ほど歩いて帰ろうとしたら、雨が結構強くなってきた。傘はなく、さてどうしたものか。