「舞台芸術見本市」でもう一つ観覧したステージは、うって変わって超天然系ロックバンド。「サルサ・ガムテープ」はNHKの5代目うたのお兄さん・かしわ哲さんが率いる知的障害者によるユニットである。こういうストーリーだと頑張れ、応援しよう的な温かい目線で見てしまいがちだが、遅れて会場に入ったら場がめちゃくちゃあったまっている。原色の派手な衣装をまとったメンバーが、ステージ狭しと跳ねまくり、太鼓をバシバシ叩きまくりと大暴れ。これは本格的ロックバンドのライブだ。

それもそのはずで、楽曲は「みんなのうた」に取り上げられたりオリンピックの応援ソングに採用されたり、忌野清志郎とセッションしたりドラムパートはブルーハーツからの参加だったりと、活動はプロソロもの。この日もRCサクセションほか、元気と希望を与えてくれる楽曲を、コピーとは思えないオリジナルさとパワフルさで奏でていた。ステージ前では固定ファンが似た境遇のお客を呼び込んで、ダンスフロア状態に。これはこちらが元気と希望をもらっている気分になり、テンションが上がること上がること。

バンドのプロフにある、「ロックは全ての壁を壊し全てを受け入れる究極のバリアフリー」との言葉が、このユニットのコンセプトを全て言い表している。鑑賞する側のバリアも吹っ飛んで、一緒に跳ねさせていただいた。音楽の破壊力と包容力、やはり素晴らしい。