ムーミンバレーパークの一番の見どころは「コケムス」だろう。フィンランド語で「体験」を意味するこの施設、物語のシーンを再現したディスプレイを巡る3階、ムーミンの物語や作者トーベ・ヤンソンの展示解説をした2階、世界最大級のムーミングッズショップとレストランのある1階という構造になっている。順路に従い、まずはエレベーターで3階へ。いきなり暗い森の中に佇むムーミンが現れ、フロアへと足を進めるとストーリーを再現したオブジェが、次々と奥へ誘ってくれる。

なじみのあるキャラクターも点在し、ホログラムの焚火にあたりながら孤独にひたるスナフキン、手をかざすと集まってくるデジタル映像のニョロニョロなど、体験型の仕掛けも楽しい。後半は絵本の世界に入っていく趣向で、シーンを描いた大きな絵本のオブジェに開けられた穴をくぐることで、話の中に入り込む仕組みだ。真摯に実直に生きて暮らすことが、幸せでもありどこか物悲しい。進むにつれ、そんなムーミンの物語がしみじみと身に染みてくるようである。

高さ8メートルあるムーミン谷のジオラマで、ムーミン屋敷の前に仲良く並んで座るムーミンとスナフキンを見たら、今度は小説や絵本そのものに踏み込んでみましょう。