
ムーミンバレーパークと聞いて「恥ずかしがらないでこっち向いて」のカルピス名作劇場を思い浮かべる人が多いだろう。しかしこのテーマパーク、かのアニメとの絡みは一切なし。トーべ・ヤンソン著の1945〜1970年に発行された9冊の小説ほか絵本とコミックの物語による、北欧におけるムーミンの世界観にひたれるテーマパークである。ゲート前には本にキャラの型抜きをしたオブジェ、ムーミンとミィがインクポットに座る像などが配され、本が所以たる観念を伝えている。
パークは4つのエリアで構成され、「小さな日常世界にひそむ本来的な偉大さ」を見出す楽しさ、という、ムーミンと仲間が作品で繰り出すメッセージに則して展開している。入り口のエリア「はじまり入り江」は飲食物販店街で、売店「はじまりの店」は帽子など道具を揃えて身支度をする、「パンケーキレストラン」はママの得意料理でみんなの好物パンケーキで腹ごしらえをする、という、旅に出る前のストーリーに基づいている。レストランは湖の眺めが良さげで、腹ごしらえは旅の最後にしてまずは先へと足を進めることに。
湖畔の小径に沿って歩き、「ムーミン谷エリア」「おさびし山エリア」へと入っていく。途中にはムーミン一家が夏場に水浴びをする「ウイマフオネ(水浴び小屋)」、一家が移住した「マヤッカ(灯台)」など、物語に登場する建物が湖畔や湖の中に建つ。最奥のおさびし山エリアにはアスレチック「ヘムレンさんの遊園地」が丘の上に、小径の終点の森にはあの方がギターを弾いたり焚き火をしていそうな緑のテントもある。ほかにも打ち上げられたボートやバスタブの荷車など、小説の挿絵が再現されており、そばにその絵が添えてあるので物語のシーンに入っていける。
園内をざっと一周したら、中心的ゾーンの「ムーミン谷エリア」で、作品の世界をさらに深く学びましょう。