一身田商店街のちょうど終点近く、そろそろひと息つきたいタイミングのところで、店頭でおばちゃんが鉄板を使って何か焼いているのが目に入る。たい焼きとか大判焼き風の挟んで返すタイプで、細長い型に生地を流し込んでは具材をのせてひっくり返して、と忙しそうだ。

ガラス戸をくぐると「いらっしゃい!」と元気な声に迎えられ、注文窓口の品札を見たらあん、クリームに並んでカレーとある。その名も「カレー焼き」は津市の名物テイクアウトグルメだが、発祥は一身田のこの店。甘い生地にカレーの組み合わせ、しかも安くてボリュームがあるため、子供や学生に人気のおやつなのである。

カレーとクリームを1本ずつ頼むと、焼きあがりまで10〜15分かかるとのことで、あたりの街並みをぶらつきながら待つ。受け取りながら、すぐに食べる旨を伝えると、それぞれを紙袋に入れて渡してくれた。専修寺境内のベンチに座り袋を開けたら、長さ15センチほどと意外に大きく、果たして2本も平らげられるだろうか。

まずカレーからいくと皮が割と薄く、カレーあんがたっぷり入っている。具は玉ネギとキャベツが多く、細かく刻んであるので食べやすい。辛さはさほどでなく「カレー風味」といったぐらいで、食べたことはない品なのに、どこか懐かしく親しみやすさを感じるのは、いわば家庭のカレー、給食のカレーの味っぽいからだろうか。

クリームの方は大判焼きで食べた味で親しみがあり、こちらも皮が薄い分クリームがたっぷりで得した気分がする。案ずることなくたちまち2本を完食、御影堂を眺めながら寺内町のローカルおやつをいただき、当地のさんぽらしい締めくくりになったかと。

高田本山てくてくさんぽは、これにて終了。三重の旅もコンプリートしたので、そろそろ帰りましょうか。