なぎさまちからは岩田川に沿って、市街の方へと引き返す。大正時代に建てられた姿のまま残る、白灯台の贄崎灯台から、かつては贄崎町を名乗っていた現・港町へと彷徨い込む。重厚な瓦屋根をのせた木造の古民家が並び、旧市街らしいわびた風情がある。

防潮堤の切れ目を見つけ、入り込んだところは河岸から切り込んだ漁港だった。贄崎漁港で、伊勢湾沿岸で操業する底引き船の拠点となっている。中小の漁船が係留される岸壁から、防潮堤を挟んで瓦屋根の民家が並ぶのがのぞき、穏やかな漁港風景が広がっている。あたりに目をやると、右奥には津の市街と大型量販店が迫り、左に松坂の工業港が遠望できた。

漁港がある立地からか、付近には水産加工品の店、青果や花の卸売市場点在しており、津の流通拠点らしい様相になる。近鉄道路に出ると卸売市場の「津青果水産物商業協同組合」があり、覗いてみると昔ながらの薄暗い体育館スタイルの建物の下、裸電球に照らされて青果や水産加工品が並んでいた。付近には小売棟も隣接、さらに長屋の市場食堂が健在で、あいにくやっていないがお好み焼きに鳥料理など、引かれるものがある。

そろそろ11時、さんぽは切り上げてまた津グルメ探訪といきましょう。