
津の名物には、ほかの地域で有名になったものが多い。天むすとみそかつは名古屋めしとして知られ、いちご大福は全国区の和スイーツだが、いずれも元祖は津。PRやプロデュース力がいまひとつ足りない、といわれるのはさておき、食への独創的な発想が備わっているのは、個性的なご当地産品が生まれる下地がある証明といえる。
泊まった宿のすぐ向かいにある「蜂蜜まん本舗」も、どこかで見た気がすると思ったら、昨日散策した宇治山田駅前に「蜂蜜ぱんじゅう」なるお店があったのを思い出す。こちらは創業昭和28年の老舗で、養蜂場の経営者が発案した由来がある。ミツバチのロゴイラストが掲げられた店頭はガラス張りになっており、おばちゃんたちが作る様子が見える。中は和菓子屋風かと思ったら、イートインがしゃれたカフェ風。窓口で2つ頼んだら、焼きたて熱々のを席まで運んでくれた。
小ぶりの饅頭はひとつ60円と手頃で、しっとりした生地をさっそくひとかじり。こしあんにハチミツが加えてあるため、染み渡るように濃厚に甘い。ハチミツのおかげで砂糖のべたつきがなくスッキリしており、激甘なのに体への通りがいいのがうれしい。さっと二つ平らげたらハチミツの効能なのか、津さんぽの疲れも緩和されたような。
晩ごはんには、もう一つの津ルーツの食を、テイクアウトしていきましょう。