外宮参拝の前に、外宮境外の別宮「月夜見宮」に参拝した。祭神の月夜見尊(つきよみのみこと)は天照大神の弟神で、須佐男神に比べるとあまり馴染みがないかもしれない。境内には樹齢数百年の大クスなど多くの樹木がそびえ、鬱蒼とした中に玉石式の古殿地と、やや新しい社殿が静かに並んでいる。駅に近い市街ながら水を打ったような静寂に包まれ、神域らしい凛とした空間が広がっている。

気持ちを律して拝殿に参り、右の高河原神社、左の落雷で倒れかけた神木にも参拝したら、神路通(かみじどおり)を歩いて外宮へ向かう。外宮北御門からの裏参道と月夜見宮を結ぶ道で、神様が行き来する道とされ真ん中を歩かないのが地元の慣しという。駅前から飲食物販店が並ぶ参道を通って外宮を参拝する方がほとんどだが、この静かな別宮で心を落ち着かせ、地域に守られた神様の行き交う通りを経て向かえば、神様詣での趣もより深まるのではなかろうか。

では、やっと外宮参拝といきましょう。