川崎でさんぽ、といってあまりさんぽのイメージが湧かないかもしれないが、宿場町、労働者の街として割と見どころがある。駅を出るとすぐそばには、東海道3番目の宿場である川崎宿が。本陣や問屋場などの跡碑のほか、「東海道かわさき宿交流館」という展示施設には、模型や古地図で当時の様子を紹介していた。2023年は開宿400年で、それに向けたPRプロジェクトも展開されているそうだ。

川崎の鎮守である古社・稲毛神社に参拝してから、スポーツ施設が集まる富士見公園へ。富士通スタジアムはかつての川崎球場を再構築したアメフト球技場なのだが、鉄骨の照明塔やコンクリの外野席など、一部に球場の名残をとどめている。球場ができた当時はプロ野球は労働者の娯楽で、マルハ時代の大洋からオリオンズのロッテと、横浜川崎のオールド野球ファンにとっても「聖地」。事務所のギャラリーには懐かしの資料が揃い、一同かなりの盛り上がりだった。球場の名残は市の文化財として、保存の動きもあるという。

最後に訪れた桜本商店街は、かつて京浜工業地帯の労働者が集まったコリアン街だった。いまではローカル商店街となったが、韓国食材の店が3軒ほど現存。自家製の惣菜やキムチ、テイクアウトの牛すじ煮込みの人気店などもあり、一同買い物にいそしんだ様子。かつての浅野セメントへの通勤路から名がついた飲食店街「セメント通り」のゲートを見て、散策終了となった。

有名観光地や散策エリアでなくても、街の背景を調べたらいろいろなストーリーで街歩きが組める。そんな勉強にもなった川崎さんぽでした。