標高1800メートルの万座温泉は日本最高所の温泉地で、高い硫黄濃度をはじめとした27種の泉質はトップクラスの効能があるとされる。「日本一」と称せられる点が2つありながら、国内はおろか群馬県内でも今ひとつ関心が弱いのが課題だそうで、泊まってそのセールスポイントを見定めるのが、このたびのミッションである。

7軒ある宿の一つ・日進舘は湯畑を見下ろす高台に位置し、9つの天然温泉めぐりを売りにしている。増築を繰り返した館内はなかなか複雑で、ざっと巡ると結構な「お宝」が見つかった。入り口に湧く名水「逢古の水」、血圧を下げる熊笹茶のサーバ、懐メロやジャズのライブが行われるシャンデリア下のシックなロビー、堂野夢水画の水墨の布袋様「幽谷布袋圖」が掛かるギャラリー、子供の絵画コーナー、そして日本最古とされるスキー板や温泉の古い写真が揃うミニ資料館などなど。

回廊や螺旋階段のガラス張り部からは、紅葉の山やクマザサの原や温泉街なども望め、展望を要所で眺めながらの館内散策も面白そうだ。では温泉も、しっかり入っておきましょう。