海軍の街・呉にて、港を巡る艦船クルーズ後の昼食は、大和ミュージアム駐車場内にある「日招きの里」で、話題の海軍鉄板カレーをいただいた。名の通り海自で供するスタイルにこだわった逸品で、「鉄板」こと艦内で供する際の、ワンプレートに盛って出されるため、艦船のまかない感があって盛り上がる。旭日旗が立つご飯とルーをからめていただくと、口当たりは甘いが後からかなりスパイシー。現海自でもついてる牛乳が独特で、どこか給食も思わせる懐かしさがある。

付け合わせも海軍グルメの盛り合わせで、ソフトかつジューシーな戦艦霧島の鯨カツに、今や海軍グルメの定番となった肉じゃが。肉じゃがは東郷元帥がイギリスから戻った際、現地で味わったビーフシチューを再現せよと指示された料理人が、困った上で出したのが所以という。ホクホクねっとりの芋を割り、甘めのしょうゆ味のツユに浸して食べれば、確かにシチュー風に思えなくもない…とは言えないか?

呉には多彩な「海軍グルメ」が定着しているが、どのメニューも様々な艦船で出しており、肉じゃがも鯨カツもカレーもそれぞれで味が異なるという。海軍鎮守府があったことから近隣の山海の優れた食材が集まり、戦中の唯一の安息である食事のために腕利きのシェフが艦の料理人とされたから、こうした食文化が発展したようである。

ちなみにこの春からは、海自の各艦船それぞれのカレーを、一対一対応で市街のお店で食べられる。先ほどのクルーズで見た、人気の護衛艦いせのカレーも味わえるかもしれず、この店では潜水艦そうりゅうのレシピを再現する予定。一定件数食べ歩くとグッズももらえるそうで、艦船めしのコンプを目指すのも呉の旅の楽しみになりそうだ。