「用のない町にあえて泊まって強引に旅気分に浸る」羽田空港編の晩御飯。ターミナルのレストランといえば飛行機と夜景ビューでしっとりがお約束だ。が、第一ターミナルで好展望の店はキハチかロイヤルの二択で、片や予算に、片や面白みに欠ける。

ならではな店を探して選んだのが、その名も「羽田ラーメン」。展望とは無縁、しかも飲食物販店が並ぶ中央のモールからはるか離れた、出発ロビーの南とっ外れにあり、空港利用者の導線にのらない、意識してなければまず気づかない立地。佇まいもこの「町」において、場末の中華料理屋な風情である。

屋号入りの赤提灯に色褪せた有名人の色紙など、店頭も店内もそれらしいこと。冷酒「羽田ラーメン」(中はキンシ政宗)を傾けモツ煮とメンマ和えで一杯、締めは醤油モヤシラーメンの流れも涙ものだ。モツ煮はコンニャクとモツのみで、甘めの味噌にほっくりシコシコ。メンマ和えは胡椒が効いて白髪ネギがスッキリと、辛口のキンシ、もとい冷酒羽田ラーメンに合う。縮れ麺が珍しい醤油ラーメンは相当さっぱりで、軽い晩飯にちょうどのボリュームだ。

佇まいは場末なのに、お会計は空港値段。これで3000円オーバーとは、ネタめしにしてはちと高くついたかな。