
日本有数の猛暑を危惧して泊まらなかった、岐阜県美濃加茂市。一応チェックしていたご当地の味に、美濃加茂やきそばというのがある。駅前の名店の味を復刻して展開しているとあり、せめて乗り換えの50分で昼飯がわりに食べておきたい。が、駅前のホテルはバイキングの一品で単品扱いなし、もう一軒の鉄板焼き屋はランチのみ日曜休と、空振りが続く。地元PRのご当地グルメが、休日にこれではどうしたものか。
サイトによると、駅周辺で扱いのある店は、あとは駅前通りの「ティールーム扉」しかない。行ってみると雑居ビルの二階にあり、一見が入るにはかなり勇気がいる侘びた「純喫茶」だ。時間もないので飛び込んだら、おばちゃんが親切に応対してくれ、アットホームさにひと安心。件の焼きそばは10食限定で、肉入りは400円・肉玉入り450円と、リーズナブルな値段が喫茶店の軽食らしくていい。
岐阜新聞と中日新聞を眺めながら、待つこと5分ほど。加水が効いたプルプルの麺は色がついておらず、一見塩焼きそば風だ。おばちゃんによると、塩コショウと魚粉で味がついているのが特徴とか。すするとカツオ節より強い旨味が中太麺を包み、グイグイかめば味がしっかり出てくる。水分多めのキャベツ、しっかり目に炒めた豚バラ、そして半熟の黄身が麺との相性バツグンの目玉焼きと、シンプルながらまとまりのある焼きそばである。
この焼きそばの面白いのは、ソース後がけがお約束なこと。ウスターを穏やかにしたようなオリジナルソースが添えてあり、軽くかけ回すと一変してピリ辛ソース焼きそばも楽しめる。一度かけてしまえば、ソースはやはり男の子の味。気がつけば後半の半分ほどはソースダボダボにしてさらい、キレイにごちそうさまである。
近隣の街・多治見の「たじみそ焼きそば」は、文字通りこってり濃厚な味噌味が売りだった。近いながらもこちらはあっさり仕上げと、同じ焼きそばで好対照な味なのが面白い。たまたま昨日も今日も、この地方の暑さは谷間だったし、泊まってサッパリ焼きそばでビールの晩飯もアリだったか?