昨年に台北に行って以来、軽く台湾料理にハマっている。が、中華街には意外と専門店が少なく、台湾のファーストフード・魯肉飯(ルーローハン)が食べたく以前から目をつけていたのが、関帝廟通りにある「秀味園」である。

魯肉飯は名の通り、茶碗飯に豚そぼろ肉とバラ煮込みを載せ、ゆで卵に高菜を添えたシンプルな丼。本場の名店で食べたのが肉にも飯にも味がじっとり染み、強烈なインパクトだった。この店のは再現度でいえば90%以上の、本場に迫る出来。こんなところに探していた台北があったのか、と感無量である。

何より凄いのは、豚肉の各部位の旨さを、それぞれきっちり引き出していること。スープで煮込みじんわりコクがあるそぼろ肉、キッと立った八角の香りとトロフルのコラーゲンが魅了するバラ煮込み。相立つダブルキャストをともにご飯とかっこめば、ああこれぞ肉飯の真骨頂だ。味覚をリセットしてくれる高菜が、肉の味をまたゼロから味わわせてくれる嬉しい存在。色が変わるほどスープが染みた味玉に、いつ取り掛かるかが悩ましく楽しい。

セットについている魚丸湯(ユーアンタン)も、台北でハマったあっさりすり身団子のスープ。これに杏仁豆腐もついて、税別800円の値段は凄い! 数百種食べ放題とか金メダル料理人とか、最近方向性が怪しい中華街にあって、こんな質実剛健かつローカル色まんまな料理があるとは。これからは1000円札でおつりがくる、中華街の普段使いのうまいものを、もっと探してみようか。