
品川のウイング内にある「酒茶論(しゅさろん)」にて、醸献×オレンジピールのチョコレート。思いもよらない日本酒の真髄にふれるなら、じっくり寝かせた琥珀色の雫をしっとり甘く味わう、このコンビが似合う。
広い窓からホテルエリアを見下しつつ、カウンターの止まり木に落ち着き、傾けるのはマスターおすすめの熟成酒。日本酒を味わっているとは思えぬ中で、その芳醇さに酔い惑う。凍らせ濃縮した純米生原酒は、38度の濃厚さ。ブランデーのようなトロ甘さに、お腹の芯からポッと熱を帯びてくる。梅干や味噌の燻製など、舌休めのつまみもまた、熟成もの。チョコの洋甘さが濃厚酒と出合い、夢幻の酔境へと揺られゆく一期一会。
薀蓄もまた味のうちと、マスターとの古酒談義が酔いをも深めていく。平安の貴醸酒に海中熟成酒など、寝かせ置く時間と空間のロマンに、満悦の酔いはさらに高みを見せていく。一献一品の小さな酒宴、深々天下泰平なり。