東口そば、線路沿いののんべい横丁入口にある「会津」にて、榮川生貯蔵酒×山芋焼き。旧友との久々の再会でじっくりと杯を交わすなら、狭い横丁の狭い店での口開けの一杯らしい、このコンビが似合う。

屋号と赤提灯に惹かれて戸をくぐり、奥の角の並び席が旧交を温めるのにもってこい。挨拶がわりのビールが空いたら、屋号ゆかりの地酒に行かぬわけにはいかない。ペシッ、とプルをひき、缶からそのままいきたいところをグラスにあけてクイクイッ。口腔いっぱいに華やかにふくらむ薫り越しに、田圃が広がり浮かぶかのよう。歯ごたえサクリ舌触りネバリの山芋は、泥臭い素朴さが里の恵みらしいこと。飲むほどにつまむほどに、酔いの向こうに会津盆地が揺らめくかのような一期一会。

コーナー越しの同席客と、いつの間にか話の花が咲き、マスターを交え屋号の談義が盛り上がる。終電も過ぎさらにひと缶、ふた缶とプルがひかれ続け、宵越しの酒がいつしか庄助さんの朝酒と化す勢いに。一献一品の小さな酒宴、朝まで天下泰平なり。