開拓者の街・帯広で、今や全国区の名物になっている豚丼。そのルーツも、開拓時代にあるという。畜産の展開で飼われていた豚は栄養価が高く、それを食材に寒さに耐えられスタミナがつく料理として考案。タレの味付けは馴染みやすさから、ウナギの蒲焼をヒントにしたという。豚肉にタレのみのシンプルな丼は、素材の持ち味勝負の北海道らしい料理ともいえる。

帯広駅に降り立つとさっそく、構内にある評判店へ足を向けた。「ぶたはげ」はその名と真っ赤な内装が、インパクト充分な店だ。豚丼は肉の枚数が選べ、並は4枚、ハーフは2枚、特盛りは6枚とある。地元の人はみんな特盛りを頼んでいる様子で、パワフルな食欲に驚きつつ並の4枚を頼んだ。

まずは肉を1枚いくと、生姜焼き定食より薄く、歯ごたえサクサク、食感はフクフクと豊か。豚肉は厚過ぎず、3ミリぐらいが肉の味が最も良いそうで、そう見切っているのはさすが、豚肉処。肉は脂のところ、赤みのところ、やや固いところなど、様々な食味食感の部位が混在しているのも、庶民派ローカル食らしい。

肝心のタレは、肉の脂の甘さがちゃんと出ているバランスの良さ。由緒通りにウナギのタレのイメージで、エキスが豚な分ボディが力強く感じる。黒胡椒がたっぷりかかっている肉は、ステーキ風でごちそう感ありか。肉でご飯を巻きながら食べていると、いかにもスタミナ飯といった感じがする。

するとご飯が余ってしまい、6枚を頼むのが道理なのが分かったような。開拓者スピリッツを体感ならぬ食感するには、2軒目は肉たっぷり盛りでいかなければ?