
ネバネバ系の食べ物は、見た目からして滋養がとれそうな印象を受ける。粘着力、腰の強さ、グッとくるような食感。粘りの要素には、免疫力を高める成分「ムチン」の作用が知られてきたが、古くから滋養ありと摂取されてきたのは視覚的・感覚的に分かる気がする。
納豆をはじめオクラ、ナメコ、モロヘイヤ、めかぶ。ざっと挙がるネバネバ食材の中でも、最強なのはトロロだ。瑞々しくサラリと喉を通る、あっさり白色の長芋。香りが濃厚で食べ応えがズシリと重い、ごってり土色の山芋。その天然ものの自然薯とろろなら、山の滋養がまるごとすり下ろされたかの鮮烈さだ。
打ちたてのそばと自然薯のとろろをざっと混ぜ、やや固めの粘りに手こずりながらズソッ。新そばならではの穀物香が立ち上がり、自然薯の土うまさが絡み込む。とろろそばのネバネバと格闘し、野と山の滋養をグイグイ取り込めば、晩夏の疲れを吹っ飛ばし秋を駆け抜ける充電も完了である。