
ポテサラはシンプルなのが好みなのは、子供の頃からの嗜好だ。形がなくなるまでしっかり潰されたジャガイモに、具はキュウリとハムぐらい。ポテトがネットリまろやかと舌に絡み、シャクシャクのキュウリの瑞々しさがコントラストを描く。もっさりとしたプレスハムは軽く塩が効いていて、どれもが一体化して見事なまとまりに。願わくはマヨネーズはキユーピーで、隠し味にエスビーのテーブルコショウを軽く振ったりして。
つまりは家庭の味の擦り込み、自身の代表的な「お袋の味」がこれなのだろう。昔は味噌汁や漬物、煮物などがそれにあたったが、食生活の多様化で思い出の味も、今や和の基本だけに限られないようだ。誰でも意外にこだわりあるおかずや惣菜が、数品は思い当たるのでは。
実家を離れてかなりになるが、未だにピタリとくるポテサラに出会えない。擦り込みの強さのせいもあるが、飲食店や総菜屋で供するものは「商品」ゆえ、具材を増やし魅力的な仕立てになるからかも。かくして今日も、ポテサラ探しの旅に出る。おっ、ジャガイモがしっかり潰れているな。むむっ、細切れながらニンジン入っているか。云々、ひとりごちながら。