大人の男性がオーダーしてサマになるスイーツは、割と絞られるイメージがある。フルーツにクリームてんこ盛りのショートケーキとかパフェよりは、ベイクドチーズケーキとかコーヒーゼリー。彩り鮮やか涼感豊かなあんみつやみつ豆よりは、豆かんや葛切り。共通するのはシンプルさと落ち着いた色合い、さらに酸味や苦味や食感といった、甘い以外の要素があるのも。最近は「甘党男子」なるジャンルが市民権を得てきたが、この傾向は男性ながら甘〜くかわいいものを味わう気恥ずかしいさの、裏返しのように思えてしまう。

そんな控えめ甘党男子にとって、ありがたいテイストが抹茶だ。若い緑の鮮やかな色合い、香ばしくほのかに渋く立ち上がる香り。大人感あふれるそれは、様々な甘味とのマッチングも絶妙だ。パフェとからめば生クリームのまろやかさを引き立て、ケーキの生地に使われれば和洋の不思議なマリアージュ。それでいてシックな見た目が男性でも様になり、堂々と賞味できるのがありがたい。

生クリームにあん、フルーツと、和洋の主要甘味要素を総動員した抹茶シフォンケーキは、鋭角的な砂糖にまろい小豆の対象的な甘さを、酸味や苦味が盛り立てる。甘党男子も存分に満たされるこの一品、「酒飲み男子」の自分も臆せずいただける、ありがたい大人な男向け和スイーツである。