山口・雙津峡温泉の方から頂戴した、堀江酒造の生酛純米酒×タケノコとコンニャクの煮物。錦川上流の水と米が活きた酒を吟味するなら、その素性がくっきり浮かぶ軽めのアテを合わせた、このコンビが似合う。

ツーと一筋、盃に流すと、白地に浮かぶ山吹色が薫と立つよう。舌で転がし膨らむ甘さから、去り際のほのかな苦味が後ろ髪を引く。手作り栽培の山田錦の芳醇な香りは、思わずホッと一息つくような染みる優しさ。淡い醤油味の煮物と、スッと素直に融和する。手作り希少なオリジナル酒だから、杯を重ねるのが楽しく惜しく。「自酒」に心身ゆだね、ほろ酔う一期一会。

飲むごとに思い浮かぶ山間の風景は、緑と水の恵みがあふれる。日本一の鮎を肴に、当地に身を置き酌み交わす、自酒の宴に思いを馳せて。一献一品の小さな酒宴、今宵も天下泰平なり。