気温が30度を超えた日の昼ごはんは、食べたいものの選択肢が極端に狭まる。和のさっぱりあっさり系で、何が何でもクールダウンか。猛暑のときは郷に従い、暑い土地の赤い辛い料理で自虐的に代謝を上げまくるか。

これが35度になれば、仕事先周辺ではもう冷やしラーメンの一択しかない。スッキリとダシが効いた醤油スープに、プッカリ浮かぶ氷の涼しげなこと。レンゲですすればキンとした涼感に、きついしょっぱさが大汗かいた後にうれしい。炎熱東京砂漠で働く者への、まさにオアシスな一杯だ。

その土地の料理は、その土地に身を置いて味わうのが一番うまいという。冷やしラーメンが生まれた山形も、内陸盆地のため猛暑の土地柄らしい。クーラーの効いた店でさらりといただくより、扇風機がヒーヒー首降る当地の大衆食堂で汗だくですする。そのほうが浮かぶ氷の有り難みがひとしお、キンとくるのだろう。