魚介の旬は、産卵期と回遊期の2回ある。旬の合間は端境期となり、市場に出回らなくなる理由がある。産卵後で栄養分がなくなっていたり、回遊後でエネルギーを使い果たしていたり。旬の味を満喫し、次の旬に思いを馳せつつ、端境期を凌いで待つ。季節ごとの魚介が、四季の風物詩たる所以である。

 旬の最盛期とは、脂がしっかりのった時期でもある。一方であっさり、さっぱりした味を好む人にとっては、最盛期をややずらした時期が「旬」だったりする。夏の江戸前のアナゴ、春先の瀬戸内のサワラは、むしろあっさり味の旬のほうが一般的だろう。

 脂ノリノリのサンマの旬は、言うまでもなく秋だが、最近は冬場でも鮮魚売り場で目に付くようになった。この時期、サンマは産卵を終えて北の海域へ北上中で、脂が薄い分刺身や寿司向きとか。塩焼きにしたら、ちょうど殿様のお眼鏡に叶う具合かも?