
駿河湾特産の桜エビはそもそも、ハプニングから獲れたものだ。イワシ漁の網の浮きが外れ、深海へと沈んだのを揚げたら、エビがザクザクとかかっていた。釣りでいうところの外道、当初は予期せぬ魚介だったようだ。
富山湾の白エビも同様、かつては商品価値があまりなかったという。刺身やかき揚げ、軍艦巻きなど、今や富山を代表するブランド魚介。そうなるまでは、つゆのダシとか、食紅で染めて何と桜エビの代用にもされていたとか。
同じく富山名物の氷見うどんと、天ぷらで味わうと、なめらかな腰の麺にサックリ軽い歯ごたえが。小振りながらプリッ、トロッ、と艶かしい食感は、高貴極まりない。4月からの解禁も間近で、富山に春を呼ぶローカル魚介でもある。
ともに予期せぬ魚介だったのが、今や両地を代表するブランドローカル魚に。駿河湾の「赤い宝石」に、富山湾の「白い宝石」。食材の価値も、予期せぬところで決まるようだ。