
漁師町の家庭のカレーは、大層豪華だと聞いたことがある。土地ごとのローカル魚を具材にしているからで、中には伊勢エビとかアワビとかカキとかサザエとか、ブランド魚介を使うところも。大きさや型に難ある規格外品の活用だが、どんな魚介もカレールーへの相性のいいこと。実はこの漁師カレーこそ、普段使いで最もうまいローカル魚料理かも知れない。
太地の「くじら家」の自慢のメニューのひとつ、鯨カツカレーは、単に鯨カツを載せたカツカレーではない。ルーにゴロゴロ浮く角切り肉もクジラで、二倍楽しめるカツカレーだ。カツは普通にトンカツ、ルーの肉は普通にビーフの味。一般のカツカレーとして普通に味わえるのがある意味凄く、それだけ常食として浸透している感じがする。
おばちゃんによると、カツにはナガスクジラ、ルーの肉にはミンククジラを使っていて、サービスのスープにはニタリクジラの皮が浮く。ビールのアテの骨剥はゴンドウクジラで、計4種のクジラを味わえたことになる。
クジラのアテとビールのおかげでかなり満腹に近く、バスの時間もあり完食は厳しそう。カツはもちろん、クジラのダシのルーはちゃんと平らげて、この旅の締めくくりの一食を終わりにしよう。