
先日、「横浜に住んでいるなら、中華街でおすすめの店を教えて」と知り合いに聞かれ、返事に困ったことがある。地元ながら意外と行かないのは、混んでいること、駐車場が停めにくいことに加え、最近は低価格バイキングが増えてきたりアミューズメント施設が増えたりと、中華テーマパークというかフードコートっぽい様相となったこともある。だから美味しい中華料理を食べたくなると、みなとみらいや関内にある中華街の名店の支店とか、郊外の住宅地に開業している中華街から暖簾分けした店に行く方が、味に間違いはなかったりする。
横浜駅界隈で中華料理を食べるなら、東口に本社ビルを構える崎陽軒がお勧めだ。「♪おいしいシウマイ(注・シューマイではない)、崎陽軒~」のCMソングで知られる、横浜名物シウマイの製造元。並行して中華レストランも展開しており、このビルには高級中華の「嘉宮」に、なぜか南イタリア料理の「イル・サッジオ」、ビアレストランの「アリババ」が入っている。
その地下にある「崎陽軒中華食堂」は最も庶民的な店舗で、4人掛けのテーブルがずらりと並ぶ店内はまさに、大衆中華食堂。メニューも1000~2000円程度の定食がメインで、セットメニューはメイン2品にライスとサラダにスープがつき、ライスはおかわりし放題だから気前がいい。もちろん看板のシウマイは、ほとんどのセットにデフォルトでついている。
この日は家族4人で各々違う定食を頼んだところ、卓上にはまちまちの一品料理が計8皿並び、円卓でコースを楽しむのに引けをとらない賑やかさ。八宝菜、エビチリ、酢豚、春巻きといった定番に、牛肉の醤油煮込み、ホタテと春野菜の炒めものなど、各種取り分けながら味わえるのが実に楽しい。
中華街の良さは名だたる高級店もあれば、こういう庶民的な横丁の食堂っぽい店もあるところだったような。お手軽だが定型のバイキングが増えるよりも、オンリーワンで願わくばお安い店にもっと頑張ってもらえれば、お勧めのお店がつらつらと挙がるほど通いたくなるのだが。