
そしてこれが小名浜魚市場前の岸壁の様子。地震で壊れた荷捌き場から海側の岸壁を修復工事中である。小名浜は震災後、周辺海域のモニタリング調査の結果を受け操業自粛中で、ウニとアワビ漁は今期の休漁を決定。底引き網漁などの沿岸漁業は9月からの再開を断念。加えてカツオは「福島産」は売れないことから各地の漁船が寄港せず水揚げが行われない。
そのため、かつて訪れた際は大小、近海遠洋様々な漁船が数珠繋ぎに停泊していたが、この日は係留する漁船はまばら。しかもほぼすべてが艫を見るといわきか福島の船籍で、後部に開口板とウインチを備えた、休漁が決まったばかりの底引き船が多い。
荷捌き場を眺めると、水揚げもセリもなくすっかり渇き切ってしまった印象。青やオレンジのコンテナや水槽が各所に高々と積まれ、選別用の機械や魚を運ぶコンベアも数連が放置状態。場内には運搬トラックや荷を運ぶフォークリフトの代わりに、駐車車両や岸壁の工事をするユンボなどが目に入る。隣接の製氷工場など周辺の関連施設も被害を受け、製氷工場は分厚い扉が曲がったりゆがんで閉まらなくなっている。
漁船、魚市場、岸壁、製氷や冷蔵施設、流通、造船や修理など、あらゆる漁業機能が停止した広大な港湾は、台風が近い曇天もあり空気が重く、時間の流れも重々しい。