
今年の恵方は南南東とのことで、東京からだと千葉の鴨川の方向らしい。シーワールドを拝みながら太巻きにかぶりつくのが御利益ありなのかどうかは分からないが、今日はコンビニの店先でも丸かぶり寿司を店頭売りするほど、1年でいちばん巻き寿司の消費量が多い日だろう。
なんだか最近は、11月のハロウィンにはじまりクリスマス、正月、節分、バレンタイン、ホワイトデーと、絶え間なく「食べ物系」の商戦が続く。ハロウィンとか恵方巻きとかは自分の子供のころにはなく(ホワイトデーも微妙だったか)、食品メーカーの販売促進戦略と言ってしまえばそれまでだけど、せっかくのイベントなんだから深く考えず、踊ってしまったほうが楽しかったりする。
なので仕事の帰りに恵方巻きを買ってみることにして、銀座三越の食品売り場を目指して界隈をぶらり。途中、寿司の名店であるすきやばし次郎とか久兵衛とかの前も通ったが、これら銀座の高級寿司店でも恵方巻きをやっているんだろうか(←あとで調べたら、久兵衛は店で出していたり、エキュート品川でテイクアウト販売していたらしい)。
銀座三越は地下2階が食品店街で、惣菜を扱うコーナーも奥の一角にある。界隈の有名店も出店しているため、ひょっとすると銀座ならではの恵方巻きが拝めるかもしれない。エスカレーターを降りていくと目の前にはさっそく、ディスプレイが迎えてくれた。周囲には行列ができているけれど、これはスイーツのジョトォのそばにあるためで、フロアはどちらかというと恵方巻きの客より、早めのバレンタイン用買い出しの女性でにぎわっているよう。フロア奥の惣菜店街まで足を延ばしても、意外に混雑がない様子だ。
というのも、主な人気店や老舗の恵方巻きは予約制らしく、美濃吉とか銀座寿司岩の店頭には早くも「売り切れ御礼」の札が。料亭の恵方巻きというのも、ちょっと興味があるけれど。そのそばには天むすで有名な地雷也があり、店頭に1本だけ残っていたのだが、目の前で売り切れてしまった。よく見なかったけれど、まさかえび天巻きなんてことは?ほかフロアには練り物の佃権、とんかつの銀座梅林など、恵方巻きとは縁のない業種の店も並ぶけれど、割引したり売り声をあげたり頑張っているものの今日は少々分が悪そうだ。
それでもコーナーの奥へ足を向けると、おにぎりの専門店が「まるかぶりおにぎり」なるものを売っていたり、五目ならぬ十目幸運巻きと名付けた豪華版があったりと、だんだんそれらしい雰囲気になってきた。ネーミングや中身は様々だけど、大体500円~700円というのは相場のようである。
そんな中、古市庵という店の店頭に人だかりがしており、のぞくと恵方巻きを店頭に山積みにしてじゃんじゃん売っている。行列がエスカレータのあたりまで伸びて店の人が交通整理を行っているほどで、ここで買うことにして5分ほど列に並んだ。店頭までたどりつくとどうやら、デパート名を冠した「三越巻き」というのが人気商品のよう。1000円オーバーの豪華「うずしお巻き」というのもあり、これはとてもまるかぶり出来そうもない太さだ。
結局、エビ、玉子、シイタケ、キュウリのシンプルな三越巻きを1本購入。ついでに向かいの各国食材の売り場で、韓国風ののりまき「キンパプ」も買ってみた。こちらもちゃっかり?恵方巻きラベルつきで売っていて、韓国にも風水の恵方の考え方があるのかどうなのか。これは全部ひとりで食べたら炭水化物過多になるので、早めに帰って家族でそれぞれ4等分していただくことにしよう。
自宅に帰り、方位磁石で南南東を確認したら、ちょうど部屋のテレビの方向だったので、包丁で分けた三越巻きを普段通りテレビを見ながらバクリ。いわゆる太巻き、といった食べ応えで、でんぶの甘さが優しくホッとする。一方、キンパプはゴマ油が塗られた韓国のりで巻いてあるので、これは香ばしく食欲がそそられる。ちょっとずつ2種類食べればもう満腹で、2カ国による守護が得られたようだし、これで今年も無病息災間違いなしか。
で、デザートは帰りに最寄り駅のコンビニで見つけた、恵方フルーツロールケーキ。これまたちゃんと恵方ラベルが貼って売っていた。まるかぶりしたい衝動に駆られてしまうけど、炭水化物過剰摂取の後にこれはちょっと危険かも…。