行ってきました鳥取~松江、食べてきました魚づくし。松葉ガニシーズンにはやや早かったけれど、底引き網漁の解禁直後で、カレイやらエビやら地魚らしい底魚がいっぱい味わえました。連日の市場巡り、つまり毎日6時前に起きて、夜は料理屋を巡るから午前様。帰りの寝台特急は個室なのをいいことに、ベッドに座り込んで流れる車窓風景を見ながら、シジミの佃煮で地酒を一杯やっているうちに爆睡してしまい、列車が東京到着直前に目覚めるというあわただしい旅の終わりではありました。そのまま朝から仕事、というのがつらいとこですが…。

1日おきのペースを守って更新しておりますが、このところ持ちネタが増えるペースが上回り、原稿にする前の整理に追われる日々。いずれもおいおいアップしていきます。今日のところはとりあえず、またラーメンネタということで(夜行列車明けで仕事のため、今日はもう眠いもんでご勘弁を)。 

 毎年一度の健康診断のために、東京ドームのすぐ近くにある指定のクリニックへとやってきた。日頃不規則な生活を強いられることが多い仕事の上、旅に出たときにはあれこれ食べ歩いて、をなりわいにしているから、普段の健康管理にはひと一倍気をつけているつもりではある。今年は年頭から、適度な運動と食生活に気をつけたおかげで体重も適度に減り、体調もこのところまずますだ。それでも一応、検査に備えて2、3日前からはアルコールを控えめに、さらに炭水化物をとりすぎないようにした結果、この日は朝から体調万全。問診も特に悪いところはなく、小1時間ほどで無事に検査は終了となった。

 とりあえずひと安心すると、減量に絶えて計量をパスした後のボクサーではないが、数日節制した分、お昼はしっかりと頂きたい。クリニックがある地下鉄の春日駅周辺はラーメン屋が多く、「文京区ラーメン激戦地」の様相を呈している。春日通りから枝に入る道までぶらぶらと歩いていると、それこそ様々なタイプのラーメン屋を見かけて興味深い。とんこつ江戸ダシラーメンとある「珍珍珍(さんちん と読む)」は、名の通り濃厚な白濁スープのラーメンの写真が店頭に並び、漂うもったりした香りにカウンターだけの店へと引きずり込まれそうになりそうだ。その向かいには黒板のシックな外観が目を引く、「信濃神麺 烈士洵名」と大仰な名の店が。名の通り長野の素材を生かしたラーメンとあり、店頭の張り紙によると白醤油ダシにトリプルスープ、エリンギなどの具材を生かしたシンプルなラーメンの写真があり、珍珍珍とは対称的だ。

 ほかにも生ニンニクを自分でクラッシュしてのせるパワーみなぎる「ニンニクげんこつラーメン花月」、キャベツや煮玉子、チャーシューなどトッピングが選べ、替え玉まである本場博多ラーメンの「丸金」など、個性派のラーメン屋が駅周辺にあるわあるわ。そんな中で選んだのは、駅の近くにある『らーめん花の華』という店。まだ仕事があるので、強烈なニンニクやトンコツラーメンはきつく、かといって醤油ラーメンや博多ラーメンではちょっと物足りない、と、「こだわりの自家製麺」の看板にひかれて暖簾をくぐることにした。カウンターに落ち着いて、選んだのは「花の華ラーメン」。餃子もプラスして、さらにあやうくライスまで頼みそうになるところを自重。ここ数日の炭水化物制限のリバウンドが来た、という感じである。

 待つ間に他の客の注文を見ていると、つけ麺やタンタンメンを頼む客が結構多いよう。手打ちとある麺が売りだからか、確かにつけ麺はメンマ、ワカメ、野菜、味噌などメニューの数が多い。一方、餃子も人気らしくほとんどの客が一緒に頼んでいる様子。張り紙には「朝仕込みの手作り」とあり、カウンターの中では手の空いたお姉さんが餃子の仕込みにかかり始めた。丼にてんこ盛りの餡を、丸い皮にたっぷりとはさみ、手際よく端からちまちまと畳んでトレイに行儀良く並べていく。冷凍の作り置きとは違い、目の前で仕込んでいるのを見るとよけいに食欲が湧いてくる。

 先に運ばれてきたラーメンは、麺が見えないほど様々な具材がのっていて、こんもりと盛り上げっているほどのボリュームである。目を引くのは上にのった赤っぽいあんで、ひと口頂くと肉味噌風でピリッと辛い。味は例えるとエビチリのソースのようで、いかにも中華といった味わいである。かなり唐辛子が効いているため、一気にいくと思わずむせてしまうほど。隣の客も、タンタンメンをすすりながら一緒にむせている。そしてあんの下にはキャベツ、モヤシ、ニンジンと野菜がたっぷり、さらにメンマにのりにチャーシューと、さすが店名を冠しただけあるスペシャル版だ。そのボリュームと対称的に、魚介のダシがかなり強く効いたスープはさっぱりした印象。おかげで飽きずにさらりと食べ進めることができるのがありがたい。

 ここまで食べ進めてやっとのことで、麺までたどりつくことができた。さすが自慢の手打ち、しっかり太くグッ、グッとした食感で、麺料理の醍醐味を味わえるしっかりした味わいだ。確かにこの麺のつけ麺なら、人気が出ること間違いなしではないだろうか。ズッとすすり、かみしめる充実感を楽しみながら、大量の具とともに食べ進める。いつのまにか餡と具が混ざり、スープはすっかり赤くなってしまい、五目タンタンメン風になってきた。具が多いのに気をとられていると麺がのびるのが少々早いようで、ピッチをあげてどんどん頂く。

 もうひとつの人気の品・餃子の方も、皮がプリプリ、グイグイと麺と同様になかなかいける。この餃子、普通のの1.2倍はあろうほど大きいのだが、肉は脂が少な目のために軽く、野菜の味わいが豊かで食べやすい。ほんのりエビの香りがするのは気のせいか、何か仕掛けがあるのだろうか。

 餃子を平らげて丼の残りにかかろうとしたが、スープがややぬるくなりほんの少し残った麺はのびのびに、さらに具も焦げた野菜がちらほらのこっているだけなので、腹八分目(?)ということでこれにてごちそうさまとした。店を出て駅へ向かう途中、あいにく今回は行けなかったラーメン店の前を数軒通り過ぎながら、次回はどこを訪れようかな、と早くも迷ってしまう。年に1度の健康診断後のお楽しみとすれば、来年からは検査前の節制に、少しは気合いが入るかも?(2006年9月21日食記)