11月の連休直前の平日に、急に休みをとることができた。たまたま子供も学校が入試で休みだったため、家族みんなで空いている平日ドライブに出かけることにした。行き先は千葉のマザー牧場。横浜からだと一大旅行に思えるかも知れないが、自宅の近くから高速湾岸線を利用できるので川崎の浮島ジャンクションへ、そこから東京湾横断道路、通称「アクアライン」を使えば、木更津まで1時間もかからない。のんびり9時頃家を出て、東京湾横断道路上にあるパーキングエリア「海ほたる」で海を眺めながらゆっくり散歩していっても、お昼前には余裕でマザー牧場に到着した。

 ちょっと遅出だったので、牧場で馬や羊とふれあったり、牧羊犬のショーを見たりとあれこれ遊んでいるともう15時近い。子供達は昼ごはんを食べるのも忘れるほど楽しかったようだが、さすがにお腹が減った様子なので、ここで遅めの昼食を頂くことにする。マザー牧場の名物といえばジンギスカン。まきばゲートの近くにあるジンギスカンガーデンに行ってみると、平日の上に食事時も外れているため貸し切り状態で、子供達は喜びながら好きな席を選んでいる。食券売り場でメニューを見ると、ラムのほか牛肉や豚肉を組み合わせたセットメニューが豊富で、中でも「ファミリーセット」は、ラム肉と豚肉が各300グラムずつと野菜に、ライスもついて4200円。家族向け3~4人用とあり、バランスも量もちょうどよさそうだ。おとなは中ジョッキ、子供達にはヨーグルトやジュースも頼んで、さっそくみんなで乾杯である。

 ジンギスカンが普通の焼肉と違うところは、ドームのような形の鍋をつかう点と、使う肉は主に羊肉である点。成長した羊の肉「マトン」は独特のにおいがあるので、主に子羊の肉「ラム」を使い、店ごとに独自のタレで味に特徴を出しているという。先週の北海道旅行の際に本場・札幌で食べたのは、生ラムのぶつ切り肉をゴロゴロとあぶり、まだ中がほんのり赤いぐらいで頂くスタイル。ここの肉は冷凍のラムと豚肉のスライスで、キャベツやモヤシなど野菜をたっぷり添えて運ばれてきた。壁に掲示された焼き方に従って、まずは1回戦をスタート。中央が盛り上がった鍋をよく熱してから、ケンネン脂(牛の脂肪)をしいたあとに鍋のてっぺんにのせる。こうすれば頂上から、溶けた脂がどんどん流れ落ちてくる。脂がゆき渡ったらとって、先にキャベツやモヤシなど野菜を鍋にのせる。その上に肉をのせれば、うまい具合に蒸し焼きになるという寸法だ。

 あまり焼き過ぎない方がうまいので、色が変わった肉をまずひと切れ味見する。野菜の上にのせたおかげで薄いのにジューシーな味わい、酸味の効いたオリジナルのタレが食欲をそそる。周辺の鹿野山の湧水を使って醸造した地元の醤油をベースに、各種野菜や果物を加えたもので、創業当時の味をそのまま継承しているという。赤身で脂の少ないラム肉はくせがなくあっさり、ほんのり薄ピンクの豚肉は肉の味がしっかりこくがあり、それぞれ味わいが異なるので食べ飽きないのがいい。肉が薄い分、下に敷いた野菜が減っていくと焼き上がるのが早いので、どんどん焼いて子供達にどんどんとって、さっと焼いてぱっと食べ、また鍋にのせて、と忙しい。それにしても結構な枚数で、なかなか減っていく気がしないほどである。

 鍋の上も皿も空になり、みんなすっかり満腹。牛を見たいとか子供達も元気をとりもどした様子だ。秋の短い日が傾いてきたので残りの散策はちょっとかけ足、チーズやソーセージなど、牧場ならではの魅力的なおみやげを買う時間もしっかりとらなければ。(2005年11月2日食記)