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直前の出張や接待も乗り切り、いよいよ迎えた試合。

まさか前日まで出張になるとは思わなかったが、寧ろそれが気分転換になったかも知れない。

会場である八王子からの道程までも、不思議とそんなに緊張する事なく、「やれる事は全てやった…」無心に近い状態だったと思う。

いよいよ会場に到着すると、古巣である行徳支部メンバーも多数おり、久々に声をかわすと良い意味で気持ちが上がってきた。

無事計量を済まし、トーナメント表を見てビックリ! 人数の関係で細かい階級分けがなされておらず、軽量級と重量級の二回級のみ。

特に重量級は上限がないので、ほぼ無差別に近い状態。トーナメント表を見て、何より気になったのは以下の3点。

1.身長18cm、体重94kgのロシア人の白帯選手のエントリー。

2.元ジュニアユース~関東推薦のS選手の存在。

3.1回戦相手が早稲田の鈴木選手である事。

以上

1.について。
周囲情報で(世界最強)ロシア支部の元茶帯と言うことを知りビビるも、決勝まで上がってくる事を想定。かつて試合やスパーで闘った外人選手との対戦を思い出し、策を練る…。

以前、外人選手との対戦を思い出す。

そういえば以前戦闘竜選手とのスパー時に、顔面を貰いながらも三日月蹴りやボディはある程度効果的だったな…。しかし上背あるからパンチのカウンターでの蹴りは危険。
潜り混んでの沖拳のセイサンやナイハンチ突きで対応しよう。

ヤンソウクップ(元極真世界二位)と試合した時もインローは効かせられたな…。
突きが効かなければ、ガードを固めてインローを蹴りまくるか?…。

結果、色々妄想をするも、ロシア人選手が急遽欠場のため、実現せず終わってしまった。

2.について
恐らく今回の試合の位置付けからして、ジュニア上がりで全日本を狙う選手が多数エントリーしてくる事は想定内。 相手は北斗旗体力別において、軽重量級トップクラスの押木選手を延長判定まで持ち込んだ強豪と知り、またビビる。
19歳の若手ゆえ、43歳のオッさん選手にはきっと油断する筈…。その隙を突いてノーモーションの攻撃で仕掛けるか?…。とか色々考えたりした。

3.について
実は一番ナーバスになったのは鈴木選手との対戦。 早稲田と御茶ノ水は兄弟支部のような間柄であり、直前の選手稽古でも顔を合わせた中。 セコンド陣営も自分の癖を知り尽くしてるゆえ、AIのように分析されてるのでは?そして何より開き直って向かってくるフレッシュな勢いが恐い…。と不安が募った。


そしていよいよ迎えた一回戦。
予想通り、猛然と向かってくる鈴木選手。
ガッチリした体型から振り回してくるスイングは、「貰ったら効果を取られるな…」と思わせる迫力があった。 そして何より、目が完全に戦闘モードでイッてる感じ…。
普段は温厚そうならキャラの彼が、「先輩を喰ってやろう!」と意気込んで向かってくる姿に、「男子三日会わざれば刮目して見よ」と言う言葉が思い浮かび、ある意味感動していた。

カウンターパンチを貰わないようロー&バックステップ、更に追い込んで来たらカウンターの直突きを繰り返し、判定勝利。

(普段道場スパーでは狭い場所でスタートするので)久々の試合で相手が遠く感じて中々カウンターの距離が合わず、ポカミスを警戒し過ぎて消極的になったのが反省。

2年前の試合では初戦で大怪我を負って辞退したため、正直、無傷で勝ってホッとした。

そして二回戦までの間、セコンドの中村(竜太郎)さん、篠原さんと相手の対策を練りリハーサル。次の相手はサウスポーにて一回戦でシニアで優勝経験のある猛者を倒して勝ち上がってきたホープ。

セコンドの中村さんからは一回戦の慎重さを反省に、「二回戦はもっと攻めるべき!」の指示を頂き、サウスポー向けの攻撃パターンを中村さん自らに相手して頂いめ何度も反復…。
カウンターパンチに頼らず、右インロー、ミドル&ハイ、三日月蹴り…で攻めてプレッシャー。
そして構えをもっと柔軟に。マイケルページのイメージで動く。

この作戦が功を奏し、インローやミドルを多用する事により、打ち合い時に何度も右ストレートがヒット。相手側のセコンドが「右だけ気をつけろ!」と指示が飛んだが、その後も何度かヒットし、テイクダウンも二回奪って判定勝利。
一回戦より大分良かったが、それでもまだ「突きの距離感が合わず、打ち抜けない…」擬かしさが残った。

しかし二回戦後、アクシデントが勃発!なんと右脛の皮膚が割れて大流血…。
試合中は気付かなかったが、インローをカットされた時に割れたのだろう。幸い極真時代から貯金で脛が鍛えられたため、骨は大丈夫そうだった。

ただ、あまりの出血のためドクターに呼ばれ、「棄権するか否か?」を確認されたのだが、「ここまで来たら優勝しかない!」との思いで懇願…。「しっかりテーピングをし、もし再度試合中に出血が止まらくなったら終了…」前提に許可頂いた。

そしていよいよ迎えた決勝前。
対戦相手は当初か警戒して元ジュニアユースの斎藤選手…。アウトボクシングからのトリッキーな足技と、長身を活かした組み膝を得意とする選手。

一、二回戦で彼に敗戦した早稲田の選手たちが色々アドバイスをくれ、「彼らの仇を取らねば…」と気持ちが高ぶった。

とはいえスネの状態はヤバイので、クレバーに闘わないと途中でドクターストップとなるため、セコンド二人に相談。
蹴りや組み膝にに注意しつつも、攻め所を見て一気に飛び込んでの突きを叩き込む策で臨む事に決定。

二人を相手に入念にリハーサルを行ったのだが、この時は緊張や気負いは無く、「相手の顔面に右拳が吸い込まれるようにして、倒す」ことのみをイメージしていた。

そしてついに決勝開始!

アウトボクシングで中々攻めてこない事を予測し、(独断で)キックスタイルの構えに変更。

相手はテコンドー選手ばりの、鋭く高角度の後ろ回し蹴りやハイキックヒヤッとしたが、セコンドの「見えてる!」コールに安心。その後強烈な組み膝を貰うも、直前に篠原さんと練習したプレッシャーで対抗出来た。

そして、気付けば残り時間半分…。そこでついにセコンドから「神の手」コール!

この瞬間までの全ての想いを込めて、構えると、手かレーザービームが出るような感覚がした。

以前後輩の菊野克紀が同様の事を言っていて、その時はあまりにスピリチュアルな感じに「大丈夫か?」と思ったが、まさしくそれを身を以て経験した。

そして、プレッシャーに反応して、どんどん下がる相手(今思えばバックステップかもしれませんが…」。

今だ!」と思った瞬間、右拳が吸い込まれるようにヒット! この時ばかりは手答えを感じましたが、そのまま突きの勢いに体が引っ張られる感じになり、クリンチとなり場外。

旗は上がるか?と思いましたが、縺れて首相撲的な展開にされたため、場内に戻り再開。

その後しばらく交錯しなこまら右を狙うも、クリーンヒット無し。

ラスト十数秒…「このまま延長になれば負ける…」と思い、左ボディから右を被せようとした刹那。

自分の沈み込む動きに合わせた、相手のカウンターの右ハイキックが巻き付くようにヒットしてダウン。

そんな効いた感じは無く、意識ははっきりありましたが、「終わってしまった…」という想いで、茫然とし、暫く立ち上がれなかった。

思い返せば、極真~キック~空道も含めて、試合でハイキックでダウンしたのは過去1回だけ…。大学2年生時に出場した1996年全中国ウエイト大会に於いて、有永浩太郎選手(極真全日本ウエイト制軽量級二位)に一本負けして以来…
(その時は本当に効いて一瞬意識を失い、気がついたら床に叩きつけられて意識が戻り、その後CTスキャンを撮りに行った記憶があります。)

話は試合の話に戻るが、ダウンした瞬間。会場が大変沸いて、映画のワンシーンのようなシーンだっという。(立ち上がって、「エイドリアーン!」叫んで欲しかったとの意見も有り笑)

その時は悔しいというより、試合後約1ヶ月たった今も言葉に上手く表せない「ゲームセット感…」

ダウンシーンを客観的に分析すれば、ガードが甘かったとか、最後攻めに行くべきではなかったか?とかいう意見もあろうかと思うが、そんなシチュエーションも何度も練習した結果の事象なので後悔は無い。
完敗です。

以上

思いを書き溜めた大変な長文となってしまったが、今回の試合により2年間失っていた「自信」を取り戻すことが出来た事が一番の成果。(ここでいう「自信」の意味の定義は曖昧であり、「男」としての本能的なものです)

自分より年上で大会で活躍している猛者の方々は方は大道塾には沢山いらっしゃるので、こんな内容をブログに記載するのは甚だお恥ずかしい気持ちで一杯ですが、いつか自分がもしか自信を喪失する場面に遭遇した時、この時の気持ちを思い出して奮起したいと思います。


改めてまして、今回の試合出場に当たってお世話になった皆様、そしてセコンドの中村さんと篠原さん、本当にありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。押忍

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